G55AMG Long 2000年  2008.9.1現在の走行距離47900km

エンジン始動すると同時にABSの警告が出る
私自身 まだ数回しか乗ったことがないGですが・・・。

Stuttgartのディラーで1999年12月にデリバリーされた車両で新車並行輸入

WDB4632411X118XXX

トラブルの内容はエンジンスタートと同時に

●メーター左のABSウオーニング点灯
●メーターセンターの液晶ディスプレイにはABSキノウシマセンと表示
●同時に三角のコーションマーク点灯

走り出さなくてもエンジン始動しただけでこの状態です。

まず修理にあたりGの4WDとデフロック、ABSなど駆動系全体の成り立ちや作動条件など基本から勉強しました。

 

警告灯が点灯したあとエンジン停止すると

「コショウガ1」と表示

しかしエンジンOFFにした後、再度IGキー 1のポジションにすると・・・

「コショウガ0」

IGキーON で 2のポジション

ここでもまだ「コショウガ0」

そしてエンジンスタートで「ABSキノウシマセン」

 

メーターそのものの故障も疑い本当にABSが機能しないのかウエットのアスファルト路面で思いっきりブレーキペダル蹴飛ばしててみたがタイヤをロックさせるブレーキ能力がないんです。このクルマの弱点ですね。

しかたないのでダート路面を探してフルブレーキ!やはりABSは作動せずタイヤがロックしました。

これでメーターユニットはシロです。

まず原因を切り分けなければいけないので工場にお願いしてDASでの診断をしました。

エンジンルームと38ピンダイアグソケト

 
ショートテストではコショウメモリなし
ABSコントロールユニットとも正常に通信しています

ABSコントロールユニットから入って故障メモリを見る

「コショウメモリ ナシ」

実測値を見る

これ以上の作動状態は走行しながらじゃないと見られません。

思い切ってDASを積んで走行テストしてもらいました。

まずDASコネクターを繋いでもボンネットを閉めることが出来るよう38ピンコネクター取り付けボルト外しテスター接続。

コードを室内に引き込みPCと接続
4輪にあるスピードセンダユニットは異常なし
DAS画面からABSハイドロリックユニットの操作を行い作動テストをした
そのつどABSポンプがビーっと動いている音がしました。ABSポンプ及びソレノイドバルブは正常でした。

エンジン始動直後の症状なのでセルモーターが回った瞬間電圧がドロップし、それが原因でABSコントロールユニットが作動停止するのを疑いました。

各ユニットへ電源を送っているベーシックモジュール外して内部のハンダなどマイクロスコープで確認した→異常はありません。

またバッテリーの電圧が低い、もしくはアースの不良などを考えブースターケーブルで外部バッテリー繋いでエンジン始動してみましたが状態に変化ありません。

DASでエンジン始動時の電圧を見るとIGキーONで12.9V。 セルが回った瞬間は11.4Vと良好でした。

マニュアルでは10.5Vまでシステムは電圧異常と認識しません。また18Vを超えてもシステムは停止します。

●8/19に預かり、ここまで一週間が経過しましたが未だ原因はわからず・・・困り果て電子制御に詳しい同形式エンジン搭載のE55AMGに乗る"sr_188"さんに症状を伝えアドバイスいただきました。

アドバイス1,DASでコショウガ発見されないのは「この状態は故障ではなくシステムの作動状態」であること。(ですからDASでコショウメモリが無かったんですね)

アドバイス2,ABSが作動しないのはデフロックが作動している信号がABSコントロールユニットに入っている可能性があり、それが原因でABSキノウシマセンと表示されている。

アドバイス3,論理的に説明できない故障は仮に直っても修理したことにならない。

yama管理人:大変参考になりました。どうもありがとうございました。

●ABSを構成する部品を調べると、大まかには・・・ 4輪スピードセンサー
ABSコントロールユニット
ABSハイドロリックユニット
ブレーキスイッチ(フットブレーキ)

●フルタイム4WD車におけるABSとデフロックは両立しないためデフロック作動時はABS機能の停止となるようになっている。

今回のABSキノウシマセンもデフロックとの関連のように思われた。

ここからは「デフロック作動中」という信号が出そうな場所を一つずつ調べていきました。

トランスファーの前後に各一個あるセンサーもコネクター外してエンジン始動しても警告灯は消えません。

F/Rデフも上と同じタイプのセンサーがあり、コネクター外してテストしましたが変化なし。

デフロック状態になったことを感知するセンサーですがF/Rデフに1個ずつ。トランスファーに2個で合計4個の同じセンサーがあります。

すべてコネクターを抜いても症状に変化なし。

 

次にデフロックSWを押すと作動する電動負圧ポンプ(矢印)

これが「デフロック作動中」という誤った信号を出している可能性もあるので2極のコネクターはずしてエンジン始動しても警告灯は消えません。

室内センターコンソール(この個体はABS解除SWなし)

センターデフロックSW押すと最初に左の黄色が点灯。数メートル走ると右の赤が点灯し正常作動しています。

その時ステアリングを大きく切ると4WDのブレーキ現象が起こりました。正常です。

 

ここまでABSに関連するものを一つ一つ調べてきましたが原因の特定には至りません。

その頃、このクルマのオーナーが購入先(世田谷区尾山台のワークスさん)へ問い合わせメカニックの方とお話しするチャンスがありました。今までの経緯を説明し似たような症状は経験していないか問い合わせると「デフロックのスイッチ(コントロールユニット)はどうでしょうか?」とのアドバイス。そう言われてみれば、ここはまだ調べていません。早速分解にかかります。

 

センターパネルを外しています

カーステレオとその右にある小物入れ外すと両側にボルトがありました。

上はウッドパネルの下にビスが3本

配線や空調のワイヤーなどがありますが、とにかくデフロックスイッチ裏のコネクター(矢印)を抜きました。

 

すぐにエンジン始動してみると・・・・ABSキノウシマセンの表示は消えました!

やはりこれ(デフロックコントロールユニット)が原因でした!

内部の回路で不具合が発生し「デフロック作動中」という信号がABSコントロールユニットへ誤って送られていたようです。

早速アドバイスいただいたsr_188さんワークスさんへ どうもありがとうございました。

Aのセンターパネル外すにはシフトノブを外してからシフトパネル周りの四角いカバーを外しHI/LO切り替えレバーのブーツめくって隠れた所にあるビス1本外せばCのウッドパネル、後ろ側から持ち上げて手前に引けば外れました。

次にBのウッドパネルを右端から慎重に引き出し(樹脂製のファスナーではまっている)その下からAを固定しているビス3本外しました。

更にカーステレオとその右にある小物入れ外すと両側にボルトがありました。

空調パネルや温度調整ダイアルは引き抜いて奥にあるナットを外しました。

これでようやくデフロックスイッチのあるウッドパネルを外すためのスペースが出来ました。

すでに外したウッドパネル
裏側はアルミで6個のナット(黒い樹脂製ナット2面幅7mm)で止まっています。これを外せばデフロックスイッチを取り出すことが出来ます。

摘出成功!

 

 

デフロックContorol Unit 拡大

そしてその裏側

中は電子回路で複雑そうな基盤が何層かになっていて修理出来るような感じではありませんでした。

部品番号A463 545 03 32 Contorol Unit
ドイツでの定価は約280EURO
国内在庫なしで取り寄せ中です。

国内定価\79200!

 

 

この作業をしていた時Gの助手席ドアを閉めたところドアミラーのレンズ(ガラス)がポトリと落ちました。幸いヒーターの配線でぶら下がり地面に落ちて割れることだけは免れましたが・・・。


リンクさせていただいているG乗りのTAKEさんのページ→掲示板で検索するとヒターの熱で樹脂がもろくなりドアを閉めた時の慣性重量がミラーのツメに負荷を掛け折れしまうんですね。

バラバラになったツメの画像。こちら新潟の山間部では冬期気温が低いのでヒターの稼働時間が長く劣化も進んでいるのでしょうか?

エポキシで応急処置をしました。

48時間経過したので今度は大丈夫そうですが次の落下が起きないうちに新品交換ですねー