W124 E280 エアコン修理 リキッドタンク、コンデンサーホース交換(69700Km 2002・8・22)
先日ハロゲン式リークデティクタを使用して漏れている個所の特定が出来ました。パーツもそろったので年間600g近い冷媒漏れ修理、コンプレッサーの焼き付き対策、リキドタンク内部破損によるエキパンの詰まり対策。大きなトラブルになる前の予防整備です。
今回作業にあたりポンプ、ゲージマニュホールド、作業場所、アドバイス等の提供をしていただいた「腰越車体」さん、ありがとうございました。お礼は手作りブルーベリージャムと手作りギョウザでした。(^^)
また私にとって初めての作業でしたが参考になる情報を提供してくださった皆さんに感謝します。M(_ _)M

参考文献 「カー・エアコンのカンどころ」 山岡 丈夫 著 株式会社 鉄道日本社 発行¥2000
       MB−USA CDMaintenance Manual

94 W124 E280JAPANデータ
冷媒HFC-134a
冷媒全容量900g
コンプレッサーオイル 全容量160cc

Speedから輸入したパーツです。

124 830 02 83 レシーバードライヤー(HELLA)
124 830 49 15 パイプライン コンデンサードライヤー
140 988 00 35 キャップ
140 988 01 35  キャップ
各シールリング
140 997 06 45 →6個
140 997 09 45 →1個

パーツ、油脂類含め総費用 約\12000

R−12使用のW124は冷媒ガス全量1100g。コンプレッサーオイル容量120ccとなっています。

HFC-134用コンプレッサーオイル ND-OIL8 
ポリアルキレングリコール( PAG)

冷媒と同時にコンプオイル(ND-Oil8) どれくらいの量を入れればよいか自信がなかったので芝浦ヤナセパーツ科下の整備オフィス に勇気を持って尋ねに行きました。車種、年式、ここ2シーズンで冷媒1200g 補充していることなど告げ、アドバイスしてもらいました。 大変丁寧な対応で詳しく説明していただき印象良かったっす。 1、私の車の症状からいうとオイルは50ccほど追加でよい。 2、エバポからのリーク原因は振動、経年変化、冷房時の結露水分による外部か らの腐食がある。 3、芝浦では冷媒漏れテストに赤外線反応のオイルを使いチェックしていて エバポからの排水に赤外線当てると赤いオイルが確実に見える。 など教えていただきました。

まずゲージマニュホールド取り付けて冷媒の回収をします。

この日は湿度55%と低くサイクル内に湿気が混入することが最小限にできる絶好の天候です。

リークテスターで漏れ反応があった低圧パイプのOリング交換です。
黄緑色はリークテスト剤による着色。Oリングにはコンプオイル塗布しかしネジ部には絶対オイルを付けないようにします。締め付けトルクが正確に出ません。29〜37Nm

外したOリングは伸びて弾力がないような感じです。

リキッドタンク、コンデンサーホース交換手順

左ウインカー、ヘッドライトをはずします。次に
@ABの配管をゆるめたらCDプレッシャースイッチも緩める。
EFのリキッドタンク固定ボルト8mm取り外しその後配管、スイッチを外す。すぐに車体側に残る配管口にガムテープ貼り湿気の混入を防ぐ。

各接続部のOリングは必ず新しいものを使いコンプオイル塗布し新しいリキッドタンクを組み付ける。

締め付けトルク
@ABは15〜18Nm
Cは20〜24Nm
Dファン用P/SWは10〜12Nm

 

外した古いパーツ(ホース下は新品、これにはOリング2箇所付属していたので2個余りました。エキスパンションバルブは冷媒が適量ある状態で冷房能力は十分であり周辺からの冷媒漏れも感知されなかったので今回は交換しませんでした。

リキッドタンクの中身を見る

高圧側のサービスバルブ コネクターが固くて取り付け苦労しました。

真空引きしながらゲーニマニュホールド高圧側からコンプオイル50cc注入。その後30分間真空引き。10分放置して漏れがないことを確認後冷媒200g高圧側から注入。次にエンジン始動してコンプをまわす(30秒)エンジン停止後15分真空引き。

冷媒低圧側から注入。MB-USAマニュアルによるとHFC-134a全量1000gとなっていますが800g入れたところで各数値をチェック。

この日気温25.5℃ 湿度55%
これをマニュアルのグラフでチェックすると高圧ゲージ以外は大体OKでした。気温も低めで過充填になりやすいので ここで注入は止めました。

吹き出し口温度 7℃
吸い込み口との温度差18.5℃
この数値は標準性能俵にピタリと一致します。

よーく冷えます。(^^)

 

エンジン2000RPM時
低圧ゲージ 2.1Kg/cm2
高圧ゲージ 16Kg/cm2
外気温25℃における標準圧力です。

この後リークデティクタ使用して各接続部の漏れをテストー>漏れなしでした。(^^)

リキッドタンクのサイトグラスは気泡が見えますが今回はこの状態で様子を見て気温が30℃の日にもう一度各数値を測定します。過充填は百害あって一利なし!冷えすぎるのもあまり好きではないので・・。

作業が終わっての感想はリキッドタンク周辺のシールリングが経年変化とエンジンルームの熱により劣化して冷媒漏れにつながったと思いました。なぜならば比較的高温にさらされないエキパン周りからはもれていなかったからです。(2重のバルクヘッドだからでしょうか)

Maintenance       HOME    

エアコン修理に当たりどこのパーツを交換する場合に於いても必ず冷媒を大気に放出せず回収から始めます。(地球にやさしい整備をこころがけています) また冷凍サイクルの内どのパーツを交換しても必ずシールリングは再利用せず新しい物をコンプオイルを塗布し使います。配管接続のネジ部分にはオイル付着すると正確なトルク管理ができません。締め付けトルクを管理すれパーツの交換は出来ますが、その時点ではまだ作業の50%しか終わっていません。
ここからの作業はけっして急がず丁寧にやります。組み立て後反復真空引きをしてサイクル内の水分を除去した後コンプオイル、冷媒のチャージを行います。

R12の場合、サイトグラスの泡の状態を見ながら、冷媒充填を行っていましたが、R134aの場合は泡があてにならないので、必ず重量を管理しながら充填してください。  R134aの場合、ガスの温度が高くなるとサイトグラスの中が白乳色になったり、泡がまだ出ているように見えたりする事があります。逆にガスが規定量入っていないのに透明になったりする事が良くあります。

以上の理由でサイトグラスがあるとかえって「やっかいな過充填」になりやすいので最近ではサイトグラスのないリキッドタンクを使うメーカーも増えました。ですから冷媒チャージの理想はサイクル内の冷媒規定量把握が必須といえましょう。

R134aについてはガスの「適正量の許容範囲が狭い」という点です。R12は1缶多めにガスを入れてしまっても気づかないと思いますが、R134aについては1缶(200g)多く入れてしまうとエアコンに不具合が発生します。

例 *ベルトが鳴く(コンプレッサーの回転が重くなる)。
  *プレッシャースイッチが作動してエアコンが効かなくなる。
   *リリーフバルブが開い冷媒を放出してしまう。
   *エアコンの冷えが悪くなる。   etcです。

 R134aの特性上、高圧側の圧力が高くなってしまうようなので、こういう現象が起き易いと考えられます。  コンデンサーの部分で、液化できなければエアコンが冷えなくなってしまいますし、コンプレッサーに負担を掛けるとコンプレッサーの破損にもつながります。  エアコンのメンテナンス時に注意しなければいけないことは、「R134aの冷媒を使用している車両のエアコンガスの補充は極力しない」ということです。残存冷媒量が分からない場合は、必ず冷媒を空にし真空引きを行って適量を計測しながら冷媒充填を行うことが大切です。

作業終了から一週間が経過、(2002/8/28)気温35℃ 湿度60%!!エアコンの冷媒圧力調べるのに絶好の日です。
前回リキタン交換した日は25℃と涼しく、やや少なめの充填でした。
(HFC-134a 全量、950g のところ700gだけ) ゲージマニュホールド付けるとEG 2000rpm で高圧17 低圧1.8 ほどでした。 200g缶一本ゲージとにらめっこしながらEG 2000rpmでチャージ。
全部入ったところで高圧22 低圧2.1ほどになりました。
噴出し口温度は外気温に比べ20℃マイナス(前回は18℃) これで約900g充填になりました。
マニュアルのグラフにもほぼ一致します。 あとは漏れがないのを祈るだけです。(^^;;

○2003年4月28日 またエアコンを使う季節となりました。気温25度、湿度40%となったのでゲージマニュホールドを取り付けガス圧のチェックです。エンジン2000rpmで高圧14 低圧1.3ほどを示していますが、マニュアルにあるグラフで確認すると、やや低めなので200gだけ補充しました。結果、高圧15 低圧1.5ほどになり外気温25℃に対し吹き出し口は9℃と その差16℃。これで今年の夏はOKでしょう。

○R-12からHFC134aへのレトロフィットについて

 作業内容 については「Norannboさんのページ
 に詳しく載っていますので参考にしてください。冷媒の特性としてHFC134aの場合分子がR-12にくらべ1/25という小ささなので漏れやすいということ。このため配管接続部分のOリングは必ずHFC-134a用のに交換する必要があります。レシーバードライヤー内部の吸湿剤も変更されており、ゴムホース内面もテフロンチューブ加工されています。厳密にはゴムホースも交換した方がいいとは思いますが、コストの関係でピンホールやヒビ割れがない場合はそのまま使われるようです。

またコンプレッサーオイルはR-12の場合鉱物油 HFC-134aは化学合成という違いがあり両者は混ざりあいません。ただ単にR-12のサイクル内にHFC-134a用のオイルを入れてしまうとコンプレッサーの焼き付きになります。そこでR-12と混合出来るオイルが開発されレトロフィットが可能になりました。

@レトロフィットする場合は、まず冷媒漏れの箇所を特定すること。(蛍光色のオイルを入れ、漏れている場所の着色による判断やリークデティクタによる判断)
Aレシーバードライヤー、接続部のOリング、チャージバルブ(冷媒の違いによる間違いをなくす為形が変更されています)は必ず交換します。その他エバポレーターやコンデンサー、高圧、低圧ホースも漏れがあれば交換となります。

漏れの特定ー>部品交換ー>コンプレッサーオイルの充填ー>真空ポンプによる真空引きー>規定量の冷媒チャージの順で進みます。

現在販売されているレシーバードライヤーやOリング等の部品はすべてHFC134a用になっていますので特に指定して注文する必要はありません。

「サンケン」で販売しているレトロフィットキットには混合できるオイル(85g)とチャージバルブ(誤使用を避けるためR-12のとHFC-134aは形が違います)が同梱されています。

 レトロフィットをDIYでやられた「たぼさんのページ」は是非参考してください。

その後2005.4にコンプレッサー交換となりました。トホホ・・詳細はこちらです

2007.5 W126 560SELのエアコン修理・レシーバードライヤー交換はこちらです